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馬油
初めて名前を耳にした人もいるかもしれませんが、馬油(ばあゆ)とは字の通りで、馬から採取した油を指します。
中国から伝わって以来、古くから薬用として用いられてきましたが、最近では美容に良いものとしても注目を集めています。

馬油の歴史
起源とも言える中国では、実際にいつから存在していたかは定かではありません。
ただ、5〜6世紀頃の書物に「馬の油は髪を生ず」と書かれていた事から、
少なくともその時代には存在していた事が分かります。
日本に伝わったのは奈良時代と考えられており、唐から渡来してきた鑑真が伝えたのではないかと言われています。
しかし、当時は薬用として利用される事が少なく、実際に使用されるようになった記録があるのは昭和に入ってからの様です。

直江昶(なおえとおる)という男こそが、馬油の効果に目を付けた最初の日本人であり、薬師堂の創業者でもあるのです。
彼は第二次世界大戦後に父の経営する油脂機械を製造する会社へと勤めました。
戦火の後が残る町や工場を復興させながら働いていたある日、彼は敷地に無断侵入して馬をさばく人間を目撃します。
その人間は、彼の近所の農家の人間でしたので、事を荒立てたくないと思った彼は、注意するだけにとどまります。
相手はお詫びのつもりか、それとも口封じの為か分かりませんが、一塊の馬肉を彼へ差し出したのでした。
その時、相手は「馬の脂肪は火傷に効く」と言って去っていったのでした。

この何気無い一言が後の馬油開発のヒントになるのです。
数日後、いつもの様に働いていた直江はふとした拍子に大火傷を負います。
熱いと言うレベルではありません、酷い激痛で呼吸をするのがやっとな程でした。
気を取り戻した彼は、この火傷では医者でも治せない、ならば馬の脂肪を試してみようと考えたのです。
それから、毎日馬肉の脂肪を塗り続けて2ヶ月が経ったある頃、
掌に激しい痒みを感じてガーゼを外した彼の目に飛び込んできたのは、
ピンク色の綺麗な皮膚とうっすらと出来あがってきた指紋でした。
真っ黒であった皮は、ガーゼを外した際に、かさぶたの様にスルリと剥けたのです。
3ヶ月も経つ頃には、火傷をしたのが分らない程に完治したのでした。

やがて、彼は仕事の合間を縫って馬の油を研究し続け、昭和46年に日本で初めて商品化へと繋がるのです。
江戸〜明治時代に香具師が販売していたガマの油は、実は馬の油だったのではないかと発表し、
口コミで全国へと広まって現在に至ります。


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